マラヤガーネット&ドラゴンガーネット – 2025年最初の出品
2025年最初の出品として、今回は2つのガーネットをご紹介します。深みのあるピンクが綺麗に出たマラヤガーネットと、ホットピンクにUV蛍光するドラゴンガーネットです。


ガーネットの研磨は、個人的に苦手な石のひとつです。特に最終の磨きの段階で傷が入りやすく、仕上げに苦労することがよくあります。調べてみると、ガーネットの結晶は比較的鋭く、研磨中に出る削りかすが傷の原因になることがあるそうです。
とはいえ、難しい石だからこそ、うまく研磨できたときの喜びはひとしおです。今回の2点も試行錯誤を繰り返しながら仕上げました。それぞれの石の特徴と研磨の過程について、詳しくご紹介します。
マラヤ・ガーネット 0.723ct “Tessellation 20 (J)”
ファセットデザイナー:Arya Akhavan
ファセットダイアグラムはこちら > https://www.gemologyproject.com/wiki/index.php?title=Akhavan_-_Tessellation_20_%28J%29





このルースのファセットデザインは、Arya Akhavan による “Tessellation 20 (J)” です。特徴的なのは、テーブル部分がフラットではなく、四角いファセットが4つ、12度の傾きで配置されている点です。こうした、テーブルに頂点があるデザインは Apex(アペックス)と呼ばれます。Apex は「頂点」を意味する英語で、通常のフラットなテーブルとは異なる独特の光の反射が楽しめます。
この研磨では、ポリッシュの段階で傷が出やすく、とても苦労しました。潤滑油のオイルを変えたことで多少改善しましたが、最も重要なのはラップ(Lap、研磨盤)の清潔さでした。石を当てたときに、ほんの少しでも音が大きくなるとトラブルが起こりやすかったため、常にラップの状態をチェックしながら作業を進めました。




仕上がったルースは、ポリッシュに苦戦した分、クラウンのミートポイント(Meetpoint、ファセットの交点)にわずかなズレが出ていますが、それ以上に深みのある美しいピンクが際立っています。また、パビリオン中央に細い四角い線が見えますが、これはカットの形状ではなく、デザインによる光学効果です。計算通りに綺麗に出たので、とても嬉しく思っています。
ご購入はこちら > https://www.raralab.shop/product/malaya-garnet-tessellation20j-0723ct/95
ドラゴン・ガーネット 0.462ct “Squartuguese2”
ファセットデザイナー:Marco Voltolini
ファセットダイアグラムはこちら > https://www.gemologyproject.com/wiki/index.php?title=Voltolini_-_Squartuguese2




Marco Voltolini による “Squartuguese2” のデザインでドラゴンガーネットをカットしました。ドラゴンガーネットはコマーシャルネームで、マラヤガーネットの中でUVライトで鮮やかに蛍光するものがこう呼ばれています。このルースはホットピンクに蛍光します。
この“Squartuguese2”というファセットデザインは、伝統的なポーチュギーズカット(Portuguese Cut)をスクエア型にアレンジしたもので、ガーネットに適した角度へ調整されています。
ポーチュギーズカットの起源については諸説ありますが、Justin K. Prim の『The Secret Teachings of Gemcutting』によると、1900年代初頭に南アフリカのダイヤモンドカッターが生み出した可能性があるとされています。詳細は不明ですが、パビリオンの小さなカットの重なりが繊細な輝きを生み出す、長い歴史の中で磨き上げられたデザインであることは間違いありません。




真正面から見ると光の角度によってやや暗く見えることがありますが、左右に6度ほど動かすと、パビリオンの小さなファセットがキラキラと輝き出し、ファセットが虹色に光ることもあります。煌めきと柔らかいピンクの色合いが両立したルースで、ガーネットの特性を活かしたデザインがしっかりと機能していると感じます。
ご購入はこちら > https://www.raralab.shop/product/malaya-dragon-garnet-squartuguese2-0462ct/96
撮影機材
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また、制作点数を増やすため、動画をお休みしています。ご不便をおかけします。